ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第一部 ホテルレストランビジネス 1982年〜1990年

第二章 オリジナルマーケティング戦略

客づくり 企画の成功例

2001/7/16更新

クリスマス営業 世界新記録

実施レストラン フランス料理 1990年12月 テーマ「歳時記」 ターゲット「カップル」 目的 客単価を上げる

クリスマスはフランス料理の旬である。日ごろホテルのレストランで食事をしない若いカップルが予約をする。私の担当するフランス料理レストランは11テーブル33席しかない。クリスマスはほとんどカップルなので11組の予約しか取れない。

毎年、クリスマスの売上を上げ続けてそろそろ天井ににきている。平均25名で満席、頑張って2回転すると合計50名の入客。平均客単価が3万円とすると売上合計150万円。(これでも同業者には詐欺と言われた)

これ以上の売上増は望めないと誰もが諦めていた。通常営業でもテーブル間が狭く、隣の会話が丸聞こえ。

私は何とか2名テーブルを増やせないかと考えた。レストランのサイズを測り、テーブルをパズルのように動かした。テーブルを探しにホテル内をくまなく歩き回った。

2ヵ月後、16テーブル34席のプランが完成。2名用が15テーブル、4名用が1テーブル。(毎年4名家族で来る顧客用)広々としたホテルのレストランをイメージしてくる若いカップルがあっと驚くテーブルプラン。

しかも3回転を狙った。予約時間は午後5時。7時、9時。勝負は12月24日クリスマスイブ。

全員に18,000円のメニューを提供するので料理説明も5種類用意した。(このテーブルで説明しても3テーブル向こうの方がうなずいているから)

夏が過ぎた頃から、こちらの都合で予約をコントロールした。

クリスマスイブ当日、完全なるスタンバイを実施した。営業はあっという間に終了した。

営業時間6時間半、総入客数96名、客単価36,000円、売上3,456,000円。鉄板焼きとランチ売上を合計すると総売上は5百万円を超えた。

客席数55席のレストランで1日5百万円の売上は世界新記録と思う。20世紀中ではこれ以上絶対に売れないと思った。

レストランの営業は日ごろの工夫が売上増に結びつく。与えられたスペースや物でも工夫次第では売上は伸びる。

それをするのは「人」の力である。

 

この原稿は1994年のものです。少々時代錯誤の部分があることをご理解ください

2006年再読