ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第一部 ホテルレストランビジネス 1982年〜1990年

第二章 オリジナルマーケティング戦略

客づくり 企画の成功例

2001/7/16更新

バレンタインデーに5万円の食事券

実施レストラン フランス料理 1991年2月 テーマ「歳時記」 ターゲット「ホテルで結婚式をした夫婦」 目的 入客増

美味しい料理と豪華な雰囲気でお値打ちメニューを用意しました。これではもうお客様は来てくれない。食に関する生活を提案しなければならない。そのような例を紹介する。

2月14日は女性から男性に愛を告白するバレンタインデー。客単価1万円を超える高級レストランに女性が男性を招待するなど考えられない。1,000円程度のチョコレートを必死で100個売っても10万円。やめた。

店づくりで紹介した「フルムーン食事券」5万円の販売を考えた。普通では思いつかない事である。

ホテルで披露宴を挙げていただいた若いご夫婦をターゲットとした。これまた手書きのダイレクトメール。

内容は、間もなくバレンタインデーですが、披露宴でお世話になったご両親やお仲人さんに、感謝の気持ちをこめて素晴らしい食事券をプレゼントしませんか。

ホテルで披露宴を挙げた人は高収入と読んだ。食事券は高価だが内容に自信があった。バレンタインデーが近くなるとプレゼントとマスコミによる雰囲気の盛り上げある。このような根拠でこの企画を提案した。直属の上司は「切手代がもったいないのでやめろ」と言った。私は上司と6時間の激論を交わし許可を勝ち取った。

手紙は300通出した。(経費は3万円だけ)誰も売れるとは思っていなかった。(私だけ売れると思っていた)

結果は17枚85万円売れた。おまけに宿泊券をセットで買ってくれた方も多くいた。

激論を交わした上司が「悪かったな」と謝罪した。(この上司は生涯の師匠です)

今回ご紹介させていただいた企画発売からすでに10年以上経過している。私が思うには、企画は生鮮食料品である。今日売れたものが明日売れるとは限らない。今月売れたものが来月売れるとは限らない。明日には腐っているかもしれないのである。どうか皆様、常に新しいアイデアでヒットする企画を考え実施していただきたく願っています。(2001/7/15作者)

この原稿は1994年のものです。少々時代錯誤の部分があることをご理解ください

2006年再読