ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

第七部 外から見たホテルビジネス 2002年〜

2003年3月12日更新 

美味しそうなホテルの企画

横浜プリンスホテルに宿泊した。

例のごとく企画に関するパンフレットやチラシやリーフレットを合計12枚集めて部屋に入った。

  

とても清潔な部屋で気持ちがよい。景色もご覧のとおり「おじさん1人」では空しいくらいロマンチックだ。

夕食の約束までしばらく時間が合ったので、企画のチラシを見た。

「ホテルのメニューがお得でうれしい」というチラシ(2色印刷)。そうか「ホテルの食事がお得と言う時代に入ったのだな」とつぶやく。

「春のイタリアンフェスタ」はイタリアからオーナーシェフを招聘して、ランチ3500円とディナー7000円とリーズナブルな価格にてお誘いしている。

「フラワーチャペルコンサートとディナー」は15000円から30000円の高額商品でのお誘い。4色カラーと2色印刷の2部も作っている。「おそらく業者に買わせる企画だな」とつぶやく。

A3見開きの豪華なレストランインフォメーション「SEA MEW」の表紙を見て驚いた。

これほどまでに大きく素材を写したものを見るのは初めて。この「骨付き子羊のロースト」はよだれが出るほど美味しそうに写っている。

レストランビジネスの原点、料理の素材をこれほど大きく取り上げた例を知らない。思わず「これ、食いたい」と唸ってしまった。

このレストランインフォメーションは全て皿の上の料理にスポットを当てている。他ホテルのインフォメーションはコース料理の集合写真が多い。

これまでは、何を、幾らで、どれだけ食べれるかを紹介していた。この誘い方にマンネリしているホテル顧客へ「どうだ」と料理を紹介しているのだ。

さて、このお誘いでどれほど売上が上がるのだろうか?これには疑問だ。

その証拠に、必ずレストラン担当者が作ったと思われる「安物のチラシ・A4コピー」が置かれている。

このチラシの内容も豪華パンフレットに書いてあるもの。おそらくレストランの売上が予算に届かないか、スタッフが暇なのだろう。

ホテルの企画セクションがお金をかけて豪華に作るパンフレットは2〜3ヶ月先の売り上げ増を目指すもの。レストランスタッフが手作りで作るチラシは今月の予算マイナスを埋めようとするもの。

ここに同じ企画でもアンバランスが生まれている。

もう少し戦略的にコミニケーションをとって「行ってみたい、食べてみたい」という企画を考えたほうが売上増につながる。

最近、行ってみたいと思えるホテル企画がほとんどない。これは経費の無駄遣い。

次回は、実録「横浜のホテルサービスの惨状」をお知らせする。

 

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