ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

第七部 外から見たホテルビジネス 2002年〜

2003年8月11日更新 

ルームサービスワゴンを点検しよう

2003年8月初旬の関東圏内にある1流のシティホテルでの出来事。

短い夏休みを都会のホテルでのんびりしようとこのホテルに2泊した。20年ぶりにシティホテルのプールでエンジョイしようと考えた。

初日の夕食は「ルームサービス」にして部屋でくつろぐことにした。メニューは簡単な印刷だが和洋中と揃っている。

たまには中華がいいと電話した。いきなり「45分かかります」と言われたが待つしかなかった。

約1時間は待っただろうか、ようやく「お待たせしました」とワゴンが運ばれてきた。ワゴンにはテーブルクロスがかかり、ワゴンの上はそれなりにちゃんとしていた。

ところがワゴンの車輪を見ていっぺんに食欲を失った。どう見ても5年は手入れしていない。どす黒い油が付着している。じゅうたんの上を転がせばじゅうたんに油が付くと思うくらい汚かった。

勢いのあるホテルではこんなこと絶対にありえない。ホテルマンの皆様、自分のホテルのルームサービスワゴンを点検してくれ。ワゴンの汚れ具合がそのホテルの現実を物語っている。

次の日の朝食での出来事。朝食は100席以上あるブッフェのレストランへ行った。100%家族連れ対象の営業である。背広族は全くいない。この日は多くの外国人家族を見かけた。

ブッフェ台にはおしぼりや爪楊枝が並べてある。しかし、子供用の小さなフォークもストローも置いていない。

ある奥様が「子供用のフォークはありませんか?」と係りに聞いていた。係りは「ここにはありません」と平気な顔で答えている。じゃあ、どこにあるんだよ。

同じようなやり取りがあっちもこっちもで聞かれた。日本人でさえこのような頓珍漢な対応。言葉の通じない外国人家族の印象は想像したくも無い。

気を取り直してプールへ行った。(宿泊はプール付きのプラン)

係りにプール利用券を渡したときこう言われた。「チェアは1000円、パラソルは2000円」と。

金額の高い安いではなく、何てせこい商売をしているのだろうか。市民プール化されたプールは1時間で切り上げた。

部屋でビールでも飲むかと考えた。案内にはホテル内コンビニエンスストアで買い求めるように書いてある。

そのコンビニの場所が遠い。廊下を100メートル歩き、エレベーターを降りてもテナントのお店を眺めながら100メートル歩いたところにある。

でもそこはコンビにではない。おみやげ物を中心に売っているだけ。町で140円の缶酎ハイが240円、ビールも倍近くの値段を付ける。

何てせこい商売をしているのだろうか。この場所もテナントの商品を買わせようという意図がみえみえ。

実際に宿泊客が近くの町のコンビニで、多くの飲食物をホテルに持ち込む姿を何度も見た。どう考えてもそうしたほうが気分が良い。

高いとか得したとかの問題ではなく、単純に気分が良い。ホテルの目先の売上を追求した戦略は極めて気分が悪い。

都会のシティホテルでのんびり過ごそうと考えた私の夏休み。ホテルにいればいるほど腹が立つことが多い。どうしようもなくなってホテルから飛び出した。

チェックアウトの日、フロントで「責任者呼べ」と叫んでいる人がいた。私はこうつぶやいた、「もう二度と来ないから」

 

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