ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

第七部 外から見たホテルビジネス 2002年〜

2003年6月27日更新 

リゾートホテル大研究 久米アイランド その4

東京で2万円のオコゼが・・・・

漁業組合の競り市で競り落とされた魚介類はどのような料理になって出されるのか?

ホテルから徒歩圏にあるホテル直営の居酒屋に行った。夜は暗い道に明かりがついている店を見つけた。

店の中に入って驚いた。小奇麗な店内は地元の人で満席状態。

さっそく刺身の盛合わせを注文した。

どれもこれも新鮮で大変おいしい。沖縄本島に通い始めて20年は経つが、こんなに美味しい刺身は食べたことがない。

どれもこれも美味しい料理を食べてエンジョイしていた時、カウンターの水槽からでかい魚が引き上げられた。

係りの人に「あの魚は何ですか?」と尋ねると「オコゼです」と答えた。あんなでかいオコゼなど初めて見る。

でかいオコゼはいくつもの料理になって個室に運ばれた。

それから随分と時間が経過した時、個室の人から「一緒にどうですか」と誘われた。「よろこんで」とずうずうしく個室にお邪魔した。

地元のホテル関係者の皆様方であった。久米島産の泡盛「久米仙」を久米島産「深海深層水」で割って飲んでいる。

私も作ってもらい席に着いた。「お、これが先ほどのオコゼの唐揚だな」

それにしてもでかい。東京では20センチのオコゼは6000円くらいの値段する。こんなでかいオコゼなら2万円はくだらないだろう。

島の人が私に「このオコゼは今日の競り市で450円です」と教えてくれた。「信じられない」

唐揚もおいしい。オコゼの胃袋のポン酢はコリコリして絶品だ。こんなに美味しい素材の宝庫なのになぜホテルでは食べれないのだろう。

かなり飲んだ頃、私の横に座っている人がホテルの料理長と分かった。酔いの回っている私は「なんでこんな料理をホテルで出さないんですか?」と失礼な質問をした。

料理長は「都会から来た偉い人がフランス料理を出せと言うんや」と言った。私は「それは誰や」と大騒ぎしながら料理長とうちとけていった。

そろそろ深夜になりホテル直営の居酒屋も閉店の時間になった。

私と料理長は大声でこう叫んでいた。「リゾートは鮮度や!」「そうだそうだ鮮度だ!」

次の日、都会から来た偉い人が勧める「フランス料理」を食べることにした。(つづく)

 

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