ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

第七部 外から見たホテルビジネス 2002年〜

2003年3月27日更新 

やる気を見せよう朝食営業

みちのく仙台に出かけた。仙台のホテルでの出来事で気づいたことを話す。

仙台は東北地方唯一の100万人都市。それにしては外資系ホテルが進出していない。理由は東京から日帰り出張が可能だから。新幹線で1時間30分強で着くので宿泊する必要はない。

JR仙台駅

一部のチェーンホテルはあるが、ビジネスホテルは地元ホテルがほとんど。インターネットで見つけた1泊朝食付き7000円(日曜日の宿泊)のホテルに泊まった。

午後11時にホテルの最上階にあるバーに行った。テーブル席もあったがカウンターを希望した。驚いたのは客もほとんどいないのに注文した酒が届くまでに相当時間がかかる。スタッフがマイペースで仕事をしている。

スタッフに聞いてみた。私「このバーは何時まで?」スタッフ「12時までです」私「家に帰れるの?」スタッフ「いいえ、明日の昼まで勤務です」

私「どれくらい寝れるの?」スタッフ「1〜2時間です」私「なに、お疲れさんでもしてるの?」スタッフ「よく分かりますね」

このバーはテーブルチャージを300円取る。私の飲んだ「ジャックダニエルソーダ割り」は、ウイスキー代750円、ソーダ代300円にサービス料10%も加算された。カクテルは900円でビールが700円。1泊朝食付き7000円のホテルのバーがこのような営業をしている。

どうもお疲れさんの料金も取られたような気がした。

次の朝、朝食券を持って「朝食バイキング」に出かけた。昨日のスタッフはいたが、客に視線がいってなく何の挨拶もない。だるそうに働いている。

しかし、この朝食の種類には驚いた。和食関連のおかずの数が多い。関東や関西でもこれほどおかずを出しているホテルを知らない。お粥もあるしご飯も、味噌汁もスタッフが取ってくれる。これで1300円ならいいんじゃないの。

最近、ホテルの朝食で驚くことがなくなった。特に和食レストランの和定食はどこも同じ。

どのホテルに泊まろうかと迷った時に、「朝食の美味しいホテル」があればそのホテルに決める。ハードが悪く客が来ないと思っているホテルマンに提案する。

朝食営業こそホテルマンの実力を見せつける絶好の舞台だ。

調理場もサービスもいやいや営業してないか?朝食価格に見合った商品を提供していると自慢できるホテルマンはいるのだろうか?

ぜひ「あのホテルの朝食は素晴らしい」と言わせて欲しい。

私が朝食を取っていると、若い女性スタッフがしわしわのユニフォームを着て走ってきた。昨日のスタッフに「遅刻してすいません」と大声で謝っている。

これこそやる気のない朝食営業だ。

 

第七部の目次へ