ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第一部 ホテルレストランビジネス 1982年〜1990年

第二章 オリジナルマーケティング戦略とは

その1 商品づくり

2001/6/26更新

美味しい料理をつくる

飲食店の商品は料理(飲料も)である。

料理はお客様にとっておいしいものでなくてはいけない。街を歩けば飲食店は沢山ある。そのすべてが競争店である。飲食店の成功は、この商品づくりをなくしてはありえない。

おいしい料理はどうしてつくればいいのか。お客様の嗜好は常に変化している。お客様の嗜好の変化に我々が合わせていかなければならない。そのシステムの確立が商品づくりのポイントである。

まず料理長が自分の味をお客様に提案する。これはメニューの作成と言える。その料理がお客様の嗜好に合うかをサービススタッフが確認する。

「お味のほうはいかがでございますか」「はい美味しかったです」このようなやりとりはよく見受けられるがここで終ってはいけない。そのお客様にとってこれ以上美味しい料理ができないからである。

本日のメニューで嫌いな物はなかったか。味加減はどうであったか。別に食べたい食材や調理法はないのかなどサービススタッフが確認しなければならない。

あまりひつこくストレートに確認するのも変である。お客様とのやり取りなどで確認できればいいのである。これらのやり取りをさりげなく出来るかどうかがサービススタッフのスキルである。

サービススタッフが足で集めたゲストコメントはその日にノートに出来る限り具体的に記録する。年齢、男女、グルメか否かも分析資料になるのである。

よく、アンケートなどでお客様の声を収集しているが改善ポイントが絞りきれない為に効果については疑問である。例えば、料理に豪華さがないやまずいと言われてもどうしていいのか分からないのである。

多くのお客様から集めた好みの集計は、そのお店を取り巻くマーケットの嗜好である。マネージャー(店長)はそれらの資料を元にして料理長と話し合いを持つ。お客様がまた食べたくなる美味しい料理を開発するために。

もし「俺のつくる料理に文句がある奴は来なくていい」という料理長がいたら、徹底的に戦わなくてはいけない。今、お客様方が喜んで来ていても、この先は全くの闇である。

今が良くても永遠の繁栄は絶対にありえないからだ。飲食店の売上げでそこに働くスタッフや家族の生活がかかっているのである。

今日来ていただいたお客様にとって何が美味しい料理であるのかを常に研究し続けなければならない。他の繁盛店に行きなぜ繁盛しているのかを勉強することも必要不可欠である。

料理長はお客様が喜ぶ料理をつくることが仕事。サービススタッフは、お客様の美味しい料理とは何かを料理長に伝えることが仕事。

このような役割分担があってはじめてお客様が美味しいという商品が生まれるのである。

お客様が美味しいという商品づくりのための努力は最優先で実践する。この努力なくしてはマーケティングの成功はない。

めし屋でめしがまずくては話にならない。

この原稿は1994年のものです。少々時代錯誤の部分があることをご理解ください。

2006年再読