ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第二部 グァム海外リゾートホテルビジネス 1991年〜1995年

G リゾートのマーケティング開始

2001/8/16更新

ホテルから連れ出す旅行会社

1994年7月、料飲部の全権限を与えられた。これまで考えたマーケティングを実践するときが来た。

目標は、ずばり喫食率(摂食率ともいう)の向上である

ホテルは満室で1000名の宿泊客。朝食・昼食・夕食の各営業で全レストランの利用客を合計する。例えば朝食合計が500名なら喫食率は50%である。

1994年4月〜6月までの喫食率は、朝食53%、夕食51%。つまり半数のお客様はホテルで食事をしていない。

喫食率はなぜ半分か。

旅行会社のパックツアーや団体ツアーには食事券(ミールクーポン)が発行される。旅行会社は売上を上げる為に食事付をお勧めする。

この食事券の発行はホテルにとってありがたい。「食べなきゃ損」という心理があるのでほとんどの人が食事する。

しかし、食事券を利用しなくても旅行会社からの支払いは一切ない。(旅行会社の儲け)前にも書いたが、旅行会社はオプショナルツアーを売らなければならない。

そのオプショナルツアーのほとんどに食事が付いている。(販売額を上げる為)食事券を半分以下(日本価格では25%以下)の金額で下取りして儲けを増やす。

オプッショナルツアー主催会社からも手数料10%〜30%の手数料をとる。つまり旅行会社の儲ける手段はこのからくりである。

旅行会社はホテルから連れ出さないと儲からない。旅行会社は食事券の支払い金額もホテルごとに違う。街のレストランやゴルフ場も食事券を使えるようにしてその差額でせこく儲けようとする。

このような事情が複雑にいりくんでホテルの喫食率を低下させている。ホテル単独でこのシステムに対抗してせこいことをすると、逆に宿泊客も送ってくれなくなる。

では喫食率をあげるにはどうすればいいか。

私はホテルにかかわる協力会社の皆様とは共栄共存をポリシーにしている。ホテルとしてビジネスでお付き合いする会社は共に栄えなければならない。

私の作戦は、他のホテルからお客様を連れて来る。その為のマーケティング戦略の商品づくり、店づくり、客づくりを実施した。

 

この原稿は1995年作成、時代錯誤のご理解をお願い致します。

2006年再読