ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第二部 グァム海外リゾートホテルビジネス 1991年〜1995年

A 500室の巨大ホテル開業

2001/7/22更新

コンセプトは南国の楽園

1991年12月グァム島のタモン湾に客室500の巨大ホテルをオープンする。コンセプトは「リゾートインパラダイス」日本語では南国の楽園である。

料飲施設はフル装備。日本料理、中国料理、洋食メインダイニング、ロビーラウンジ、ディスコ、カラオケクラブ、メインバー、プールサイドバー。

宴会場は室内に、着席で200名の大宴会場、その他中小宴会場と畳宴会場。屋外には東京ドーム以上の大きさを誇るガーデン(1000名以上の宴会可)。

料飲部の日本人スタッフは調理場を含め11名(調理場7名)。現地採用のスタッフは350名の巨大組織。

6ヶ月前に私は赴任したが、準備されていたのはこのコンセプトだけ。こりゃ大変だ!。

ほとんどの日本人は英語が堪能ではない。会議も英語、業務連絡も英語、勿論電話も英語。日本ではテキパキ仕事をこなすのだが、何かしようとするとこの英語で日本人は絶句する。

このような苦労があった。

グァム島で生産しているのは子供だけ。全ての物品、食材、飲料は輸入である。什器備品は発注してから納品まで3ヶ月かかる。食材・飲料はアメリカ本土や香港などから船便で運ぶ為最低2週間かかる。野菜はとても新鮮なものではなくレタスは真っ赤なのだ。

日本料理の食材は日本から空輸する。当然コストは日本の倍かかる。酒問屋にいたっては、各問屋がビールやウイスキーなど別々に取り扱っている。バドワイザーはここ、ミラーはあそこ。一つ一つの問屋を回って交渉する。言葉が通じない。

開業までに取得する免許も日本とは随分違う。アルコールを扱う個人と店でアルコール取り扱い免許ABCライセンスが必要。レストランなどのマネージャーは食品衛生講習を受け、テストに合格しなければならない。当然、私も1週間の講習を受けたが全て英語。泣いたりわめいたりしてテストに合格させていただいた。(内緒ですが)

私生活の準備。車の免許を取らなくてはいけない。車も絶対必要。コンドミニアムを借りなくてはならない。テレビなど必要なものも多い。

赴任前は全ての準備が整っており、仕事をさくっと片付けて、休日はビーチでのんびりと勘違いしていた。

お客様の「南国の楽園」を演出するための私は「南国の苦悩」でした。

 

この原稿は1995年作成、時代錯誤のご理解をお願い致します。

2006年再読