ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第六部 大阪ブライダルビジネス 2002年〜2003年

2002/9/25  更新 

披露宴を楽しもう

神戸と大阪のホテルで40年間もホテルマンをされていた「私の相談役」D会長から聞いた話。「長い間結婚披露宴をしてお客様から褒められたことなど一度も無い」

D会長は10年前に結婚式ビジネスから撤退することを考えたそうだ。もし、その時に撤退を提案していたらホテルを辞めさせられることになったと振り返る。(ただ売上確保優先の為)

D会長のおられたホテルは今でも細々と婚礼ビジネスを続けている。年々婚礼獲得組数が減っている。

さて、大阪のホテル全体で獲得する婚礼組数は年々減少して出席人数も減っている。その原因をホテルマンはこう言う。

「少子化現象の影響で婚礼適齢期の人口が減っている」「終身雇用制度の崩壊で会社関係の来賓を呼ばなくなった」「婚姻届数に対して披露宴実施率が減っている」

ホテルマンは外的要因を見つけては、うまく言い訳をする人たちである。

ホテルの披露宴が減少している本当の理由を教えてあげよう。「ホテルの披露宴が楽しくないから」

私はホテル披露宴の招待状をもらっても少しも嬉しく思わない。理由は「披露宴が楽しくないから」。できれば「欠席」として返事を出したい。

年に何度もホテル披露宴に出席している人は、心から楽しみだと思っているのだろうか?ほとんどの人は嫌々出席していると思う。

婚礼予約のスタッフ、宴会サービスのスタッフ、調理スタッフ、協力会社スタッフの皆様方は披露宴を楽しんでいますか?

おそらくほとんどのスタッフがマンネリ化した披露宴に「嫌気」がさしている事だろう。このような状況でスタッフが楽しめない披露宴を、ゲストが楽しめるだろうか。

ゲストが楽しんでいないのに、ご両家の親族が喜ぶのだろうか?新郎新婦は本当に満足するのだろうか?

新婦の友人はホテルの楽しくない披露宴を見て「私はホテル以外で披露宴をやりたい」と思って違う場所を探している。

ホテル間のプラン価格競争をしたり、見積りトリックを考える暇があったら「楽しめる披露宴を考えたらどうだ」

各ホテルがそれぞれに個性ある「披露宴は楽しい」を演出できれば、必ずホテル披露宴は増える!

ご招待客の皆様は4万円(関西平均)のご祝儀を持ってホテルに行く。4万円を払ってもそれ以上に楽しければ又行きたいと思う。

私の前に座る結婚を考えるカップルは「あのホテルのほうが安いのですが」と口を揃えて言っている。

「あのホテルのほうが楽しそうなのですが」とは一言も聞いたことがない。

関西のホテルマンよ、もう一度原点に戻って「披露宴を楽しもう!」ではないか。

 

この原稿は2002年作成 2006年再読

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