ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」
第四部 東京お台場アーバンリゾートホテルビジネス 1996年〜1998年
2001/12/26 更新
バースデープランは生まれた年のワイン付き フランス料理のレストランは「特別な日」にご利用される。クリスマスなどの歳時記は期間限定であり、黙っていても満席になる。 東京1千万人の全てがもつ特別な日は誕生日である。気のきいたレストランではバースデープランを用意している。 グラスのシャンパンプレゼントや、ケーキのプレゼントや、ポラロイド写真プレゼントなど。おもしろくないではないか。 そこで私はスタッフを集めてこう言った。「人が真似をできないバースデープランを考えてくれ」 これといった新しいアイデアは出てこなかった。そこで私が思いついたアイデアを言った。 「フルリムジンでお客様を迎えに行くのはどうだろう。レインボーブリッジでシャンパンを開け飲んでもらおう」スタッフ「・・・・・」 「彼女の生まれた年のワインをテーブルに置こう」スタッフ「・・・・・」 おそらくスタッフは「このおっさん、何考えているんだ」と思ったに違いない。しかし、このバースデープランは発売されたのだ。お二人様50,000円で。 私は割引企画など考えない。人が真似をできない企画を考え実施することに燃えている。 リムジンのお迎えは、リムジン会社に協賛をお願いしてシャンパンをクーラーに冷やしてお迎えに行ったもらうこととした。これは比較的スムーズに話はまとまった。 問題は「生まれた年のワイン」をどう用意するかである。この時はワインブームで世界中で赤ワインが品薄であった。 私のリクエストは20年前から30年前の赤ワインを1本1万円以下で、100本かき集めてくれというものであった。大手のワインメーカーに話をするが全く相手にしてもらえなかった。 そこである小さなワイン輸入業者のセールスマンに話した時だった。「ぜひ私に集めさせていただきたい」とそのセールスマンは言ったのだ。そして本当に集めてきた。 こうして「何考えているんだ、このおっさん」の企画が出来上がった。スタッフを集めてこの企画のネーミングを募集した。 やはり私が納得するネーミングはでてこなかった。仕方がないので私が「オンリーユー」でいくと言ってしまった。 こうして彼女の生まれた年のワインがテーブルに置かれる、バースデープラン「オンリーユー」が発売された。 ワインを集めてくれたセールスマンからは、今でもワインを多く注文している。
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この原稿は2001年作成
2006年再読