ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

第九部 甦れホテルブライダル 2006年〜

2006年06月27日更新 

やめようブライダルフェアー

最近、知人のお嬢様が、都内にある小さなホテルのブライダルフェアーに出かけた。結婚情報誌に大きなブライダルフェアーと宣伝しているのを見て出かけたらしい。

お嬢様の報告によると、ブライダルフェアーの受付から宴会場、チャペルにいたるまでスタッフが誰もいなかったそうだ。

ホテル内をうろうろしているときに、ホテルのスタッフらしい人とすれ違っても、誰も声をかけてくれなかったらしい。この話を聞いた誰もが「え、おかしんじゃないの」と聞き返した。

ようく話を聞いてみると、たまたまその時間が試食会と重なっていたので、スタッフが全員試食会の会場に入っていたらしい。それにしても、受付にも人がいないなんておかしいな。

ブライダルフェアーと宣伝して集めた貴重なゲストを、誰にも知られることが無く帰らせてしまった。実はこのようなシーンはホテルのロビーにいても結構見かける。

ある司会会社の話である。ホテルはブライダルフェアーをするからと言っては協賛金を要求するらしい。仕事が欲しいので協賛金を払うが、フェアーの結果に対する報告もないらしい。協賛金に見合った仕事をもらった記憶もないそうだ。

ただただブライダルフェアーをしなければ結婚式と披露宴の受注ができないと思っているホテルの勘違い。

日本経済がバブルに浮かれていたころ、ホテルや結婚式場では何千組も婚礼を受注していた。打合せが回らないのでブライダルフェアーを実施したのだ。

料理、引き出物、衣裳、写真、ビデオ、装花、演出、司会にいたるまで宴会場に並べて、一気に打合せを行なっていた。

こうして始まったブライダルフェアーが、なぜ新規獲得はこれしかないと行なわれているのか、考えたことがあるのだろうか。

利益の出ていない婚礼部門で、素敵な飾りができるほど予算も取れないだろう。そのしわ寄せを業者にしても誰も気合が入らないから婚礼客獲得なんて決してできない。

人出が不足しているのに大げさに宣伝打って何とかしようとあがいている。その結果、ブライダルフェアーに訪れたゲストがスタッフと会わずにホテルを後にする。

もうやめようよ、ブライダルフェアー。

 

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