ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

第九部 甦れホテルブライダル 2006年〜

2006年10月17日更新 

ブライダル屋のホテルオペレーション

ホテル屋がブライダルビジネスをするのと、ブライダル屋がホテルビジネスをするのでは、どちらが儲かるか。

ブライダルをあきらめるホテルも増えてきている中で、ブライダル屋がホテルを借りたり、買ったりして再生させるケースも出てきている。

なぜ、成績の悪いホテルを、ブライダル屋がオペレートすることになるのか。きっとそのほうが、儲かるのだろう。

今回からこのテーマで色々考えてみたい。ブライダル産業新聞社の「ザ・ブライダルビジネス」を勝手に参考にさせていただきました。

ホテルコンチネンタル横浜のケーススタディ

1987年開業で、ピーク時に婚礼が年間600組あった。1997年ごろには年間60組まで激減し、ホテル全体としても壊滅状態に陥った。

そこに、横浜のブライダル専門企業「ブライダルプロデュース」がこのホテルを丸ごと借り受け、ホテルオペレーションを行なった。

結果、改装2年目には、年間1,000組近い婚礼受注に成功している。この成功の要因は、ホテルのオペレーターでは考え付かない色々なアイデアを実施したからである。

本からの記載を抜粋してみると、

@ ホテルの2・3階にブライダルタウンを作ったが、テナント企業に関して、入居の保証金を一切もらっていない。

A ホテルの客室50室中、12室を花嫁専用ルームに改装している。

B ホテルなのに定休日を設けた。宿泊は婚礼客に特化してセールスもしていない。

C 宴会場の改装を一度に行なわず、毎年新会場が誕生するという仕掛けにした。

ホテルのオペレーターでは、中々考え付かないアイデアの数々が実施されたことは理解できただろうか。(考え付いても実施までには力尽きてしまうことだらけでしょう)

私は仕事柄、色々なホテルに話を聞きに行っているが、婚礼ビジネスの邪魔をする要因で、意外に多いのがテナントの力不足と言われる。

そして、「テナントを変えれば」と言うと、「保証金の問題で変えられない」と言われる。入居時に多額の保証金を預かっているので、すぐに返却できない事情からこのようになってしまう。

@のように入居時に、保証金を預からなければ、持込が増えるなどの競争力が落ちた時には、テナントを変えられる。テナントは変えられるから変えられないようにと、商品を研究することや、スタッフの教育にも熱が入り、競争力のあるテナントになる。

このようにホテルだからという考え方が、ブライダルビジネスの足を引っ張っているケースが多い。この「ザ・ブライダルビジネス」にはホテルオペレーターでは見えてこない数々のヒントが書かれています。

ぜひ、読んでいただきたい本です。

次回は、同じブライダル産業新聞社の「最強のホテル再生術のすべて」から色々考えみたい。

 

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