ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

ホテルビジネスを考える 2005年〜

2005年03月14日更新 

ホテルのレストランを考える その2

今回は実際のホテル内レストランの実情を考えてみよう。

そのホテルは東京都内の繁華街にある大型シティホテル。立地は最高のJR駅前にあり山手線の駅からも徒歩で行ける。

レストランは西洋料理を出す80席のメインダイニング。本格的な中国料理は80席。日本料理も65席と充実。他にも寿司レストランや鉄板焼レストランがある。ホテルの最上階には夜景のきれいなスカイラウンジがあり、ロビーには立派なティラウンジがある。

営業時間は、朝食を出す洋食と和食のレストランが午前7時から営業を始める。レストランのディナーは午後11時までの営業。スカイラウンジは午前1時まで。営業時間はさすがに繁華街なので頑張っていると言える。勿論、年中無休の365日営業。

このレストランバーの総席数は450席で占有する面積は約1000坪もあり、どのレストランバーもゆったりと席を作っている。

調理は和洋中と料理長がいてそれぞれの調理場に調理社員が10名づつ配属されている。サービスもレストラン課としてレストラン課長が陣頭指揮をとる。それぞれのレストランには黒服のマネージャーいて多くのサービススタッフを抱えている。

これでこのホテルのレストランバーの姿がだいたい目に浮かんだことと思う。

驚くなかれ、平成16年度のレストランバーの総売上が4億円しかないのだ。その1で紹介したロイヤルホストの年商と同じ。信じられないと思うがこの数字は事実。1日110万円で1席あたりの売上が2,444円、坪当たりの売上が1,100円にしかならない。

総人件費は年間2億円になり売上の50%。料理飲料原価も30%にはなるだろうし、管理部門の経費を割り振るとすでにこの時点で赤字。

通常のホテルレストランは家賃のことは考えないが、実際の経営という考えでいうならば家賃を加えて考えたほうが良い。

この好立地ではビルテナントとして賃貸料は坪2万円はくだらない。年間の賃料は2億4百万円と売上の60%になってしまう。ざっと計算しても年間3億円以上の赤字

ホテル内飲食施設は宿泊客との関係で閉めるわけにはいかない。新しい形態のレストランに変更しようにもアイデアもお金もない。そのような理由から年間10%づつ売上が下がってきている。

このホテルのレストランバーを黒字化するためには年間最低10億円を売る必要がある。あなたは現状の施設やスタッフとともに売上を一気に2.5倍まで上げる方法を知っていますか?

その方法を具体的に語れ、提案として書類にまとめ、オーナーが納得するように説明できて承認をもらう。これが料飲支配人の仕事です。あなたはできますか?

その3につづく

 

第八部の目次へ

脱税問題へ