ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

ホテルビジネスを考える 2005年〜

2005年04月9日更新 

特別寄稿 ブライダルのカリスマ脱税問題について 

平成17年4月8日の各新聞が大きく報じた

婚礼業界のカリスマ 裏金1億円所得隠し 東京国税告発

日本一の婚礼獲得組数を誇るシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテルの元副総支配人が、取引業者から受け取った個人的なリベート約1億1千万円の所得を申告しなかった。

まんぷく寺では、何度もこのホテルの商売に関して警告を発信してきた。婚礼商品を安売りして組数をどれだけ増やしてもホテルマンの幸せなど作れないと。

(過去のウエディングプランナー講座より抜粋)

一方、ホテル婚礼では日本を代表する千葉県のホテルがある。まんぷく寺では何度も安売り戦略に警告を発し続けてきたホテル。

ゼクシィ関東版2004年2月号に、このような究極の安売り広告が出た。

40名で29万8000円とまるで旅行の商品のようなこの広告。このホテルの広告ページでは、とにかく安い、お得、特典などの言葉が羅列されている。

それだけに信じられない数を受注している。ホテルマンにとっては、いかに数をこなすかが生き残るテーマになるだろう。

ブライダル業界では今も獲得組数でホテルや式場を評価する習慣が残っている。組数さえ増えれば安売りもよし、スタッフのモチベーションも関係なしという方針が見えていた。

現実にこのホテルで婚礼を担当していたスタッフが何名もまんぷく寺に駆け込みがあった。

これまで結婚情報誌に安売りを出し続けている限り婚礼獲得組数が激減すると警告していたが、今回の脱税事件がこのホテルの婚礼ビジネスに大きな影響を及ぼすであろう。

若きホテルマンに言う。

今回のように婚礼責任者に業者からリベートが渡されるのが普通と思ったでしょうか。私が知る限り業者からリベートが払われているなど一度も見たことも聞いたこともない。

確かに20年以上前のブライダル業界ではリベートは当たり前だと聞いたことはある。それは結婚したい人が徹夜で結婚式場に並んだ異常な時代のことである。儲かって儲かって笑いが止まらなかった時代に、業者はおいしいおすそ分けを望んでリベートを用意したのであろう。

今回、告発された元副総支配人はテレビで「スタッフがもっと苦しみ努力すれば、もっと安くできる」と何度も言っていた。スタッフを苦しめて自分の業績を上げ、業者から月々300万円もの個人的なリベートを受け取っていたとはあきれ果てる。

加えてこの事件でブライダル業界のイメージは相当悪くなったと考えられる。建設業界では個人的なリベートが当たり前かどうかは知らないけれど、他業界から出向できてブライダル業界のイメージを悪くされては全くの迷惑である。

今回の事件で何らかの影響を受けた皆様方に声を大にして言いたい。

ブライダル業界の目的はただひとつ。招待されたお客様の満足と招待した二人の感動を創るビジネスがブライダル業界である。

ブライダルにかかわるすべての人々がこの目的のために一生懸命努力する。多くのゲストから支持をされて初めてスタッフもホテルも式場もハッピーになる。

今回の出来事は、本当にびっくりしてがっかりした。

皆様のご意見は掲示板へ書き込みください。お待ちしています。 管理人 のぶおじさん

 

第八部の目次へ