ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

ホテルビジネスを考える 2005年〜

2005年02月04日更新 

品川プリンスホテルの宿泊戦略

品川プリンスホテルホームページ

客室数3,680室を有する巨大なホテル。友人情報だが、宿泊稼働率も90%を超える。どうすれば3,680室の部屋をほぼ毎日満室できるのか?

立地は新幹線も停車するJR品川駅から道路を横断した場所で、駅から徒歩1分とホテルとしては申し分ない。出張でも観光でも品川からは目的地に行きやすい場所柄も有利といえる。

ホテル新館にあるメインロビーに1時間立っていたら驚くほど多くの人々が行きかっている。通常のビジネス風の男性、東南アジア系の外国人グループ客、ファミリー客、若い女性観光客、時期により多くの修学旅行生などなど。

宿泊は本館(1015room)・別館(257room)・新館(1736room)・エグゼクティブタワー(672room)と全部で4つの棟に分かれている。

シングルルームの料金は11,319円(税サ込13.2u)から20,790円(税サ込21.0u)とマーケットプライスの平均的な価格帯と言える。

しかし実際はこの価格で稼働率90%を維持するのは困難である。ホテル営業が持つ特別価格は別として、一般人がインターネットで知ることができる割引価格が存在するはず。

調べてみたらシングル7,500円〜10,300円(税サ込13.2u)、朝食つきが11,600円(税サ込13.2u)からとなっている。この料金は月別のカレンダーで日にちごとの価格が記されており稼働率向上の綿密な戦略が見え隠れする。

他には契約企業の特別価格、団体客用の団体価格、旅行会社へ卸すエージェント価格など幅広い価格帯で他社との競争に打ち勝つように価格が用意されている。

一部屋あたりの平均価格を10,000円と多少安く見ても稼働率90%の一日の売上が33百万円で年間売り上げは120億円を超える。ホテル単体の宿泊部が年商120億円を売るなんて、信じられないもののまぎれもない事実。

この売上は都内500室規模のホテル全体の年商を十分超える。しかも宿泊の売上原価から考えると相当な利益を上げていることになる。(2005年2月現在プリンスホテルズで黒字はここだけという噂)

ホテルの宿泊関係者で稼働率が上がらず悩んでいる皆様に申し上げたい。品川プリンスホテル新館のロビーに立って泊まっている客層を見て学ぶべし。

ホテルに泊まる客がこれほどいることに驚くでしょう。営業努力の必要性も感じるはず。営業もしないで割引券だけを印刷している場合ではありませんよ。

 

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