ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

ホテルビジネスを考える 2005年〜

2005年02月01日更新 

品川プリンスホテルの料飲施設

品川プリンスホテルホームページ

2005年2月現在で利用した料飲施設

ブッフェレストラン 「ハプナ」 ・中国料理 「品川大飯店」 ・中国小皿料理 居酒屋 「孫悟空」 ・味街道五十三次 焼き鳥おでん 「亀山」 鉄板焼き 「三条」 ・ラウンジバー 「トップオブシナガワ」 ・和食 「ななかまど」 ・フードコート

客室数3,680室を有する巨大なホテル。友人情報だが、宿泊稼働率も90%を超える。16ヶ所ある料飲施設には多くのゲストが訪れている。

このホテルの料飲戦略は、ホテルの料飲価格を町場並に引き下げたことであろう。昨年までのダイニングディナーコースは3千円台でだされていた。(現在、残念だが4千円台になった)

私が最も驚いた料飲施設はエグゼクティブタワー2階にある「フードコート」(300席)である。ラーメン、タイヤキ、たこ焼き、クレープ、サンドイッチ、中華焼きそば、チャーハンなどが気軽に1000円以下で食べることができる。

ここを利用する客層は学生さんからカップル、ビジネスマン、グループまで実に多彩。これは料金の安さが多くの客層を呼び込んでいるのだろう。

ここで働くコック服姿の女性に聞いてみた。「あなたはホテルの人ですか」すると「はいそうです」と答えたのでホテルのスタッフが運営していると思われる。

ホテルの直営でこのようなフードコートをだしたという事実は驚きと表現してもいいだろう。

私はこのフードコートでよく待ち合わせをする。ジントニックが350円と安いので食前酒代わりに飲みながら約束の人が来るのを待っている。

まずフードコートの中央にあるドリンクコーナー横においてある食券自動販売機でドリンク券を購入する。すこし離れた受け渡しカウンターに行き、係りの人に券を渡してドリンクを作ってもらう。

このコーナーを担当する女性スタッフの怠慢な動きとカクテルをぎこちない手つきで作るスキルを見ていると、とてもホテルのレベルではない。

和食の「ななかまど」も居酒屋メニューが安く充実しているものの、驚きのない料理にぎこちないサービスの現状を見るとホテルの洗練さが感じられない。

東海道五十三次の和食シリーズも利用しやすい価格で席を取るのが困難なくらい繁盛している。ここもホテルとして割安感はあるもののそれなりの満足感しか得られない。

しかし客はまったく問題なく苦情を言うなど考えないだろ。そのつもりで利用しているか、一見客としてその日その時にそれなりにお腹一杯になれば満足なのだから。

このホテルに宿泊する幅広い客層に対応する料飲施設は、ホテルゲストをホテルから出さないように、ある程度の割り切りをもって運営されている。

これはホテルビジネスのひとつの形として参考にできないだろうか。これまでホテルだからという殻の中でホテルオペレーションが考えられてきたと思う。その殻の中のビジネスはもう明らかに限界にきているだろう。

ホテルビジネスに限界を感じたホテルマンの皆様よ、品川プリンスホテルのフードコートに出かけよう。新しいビジネス想像のヒントが見えてくるだろう。

私ならこのフードコートに「品川ラーメン博物館」を作るかもね。テナントはホテルに出すことにステータスを感じていますよ。

 

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