ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第六部 ホテルのブライダルビジネス 2002年

2002/4/5  更新 

ホテルブライダルの危機 その4

2002年4月現在、ホテルのブライダルビジネスは危機を迎えている。これまで説明してきたようにホテルは結婚情報専門誌に利益を根こそぎ持っていかれている。

ゼクシィを見ていると思わず「バカだな」とつぶやいた。ホテルのページを見ていると「リーズナブルでお得です」とこれでもかこれでもかと書いてある。

同業であるホテル同士で安売り戦争をやっている。(本当の敵は別にあるんじゃないの)

2000年5月号のゼクシィから堂々と割引でラッパを鳴らすホテルの一部を紹介する。

神戸の外資ホテルページのメインタイトル=最大50%オフ

東京のホテル=日曜日特定時間と平日に51名以上の披露宴を行えば、何と50名分の料理が無料になる。16000円コースなら80名で80万円のお得。(原文のまま)

一番印象に残った割引広告大賞は東京の外資系ホテルだろう。

○○ならここまで出来る! 開業5周年記念プラン GOGOGO PLAN 40名555,000円

さらに、決定は早いほどお得! ○○の「早割りスペシャル」 6ヶ月前に申し込むと6万円割引・・・・・・10ヶ月前は10万円割引

GOGOGO PLAN 特典 衣裳50%割引 美容・着付・写真・装花20%割引 挙式料は特別価格 披露宴総費用より5万円割引 ホテル指定の引き出物10%割引 自動追尾照明システム使用料無料 ジョーゼット使用料無料 当日宿泊プレゼント(ジュニアスイート) 1万3000円の料理を1万1000円で提供 贈呈用花束プレゼント 列席者宿泊30%割引 式服写真プレゼント(額入り) 新婦エステプレゼント他

カジュアルブライダルフェアは、15,000円メニューの無料試食会を実施!

これは3ページにわたり堂々と出している正真正銘の超割引広告である。ここまでくると救いようがないな。

私は、お二人に聞いている。結婚式の会場は何で決めるのかを。会場の雰囲気30%、料理20%、チャペル10%・・・・・・最後のほうに予算である。

安いから決めるのは僅か数パーセントしかいない。しかも安いから決めた人は、安いのがいいので高単価商品を紹介することも出来ない。

「他のホテルより安いプランを出して組数を上げる」という戦略のホテルで働く人は幸せだろうか。料理や飲料のコストを下げろ、配膳の人件費を削れ、業者に無理を頼め・・・・。

ここまで詳しく説明したら分かっただろうか。ホテルブライダルが危機という現状が理解できただろうか。

もうホテルの勝組と負け組みははっきりしている。負け組みの取る方法が安売りでは業界全体が死んでしまう。

ブライダルのマーケティングは安売りではないのです。お二人が「ここで一生に一度の結婚式をしたい」という会場をどうすれば作れるかである。

そしてやる気のある優秀な若きホテルマンを教育すること。そうしないと近い将来、多くのホテルが廃墟と化す。

 

この原稿は2002年作成 2006年再読

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