ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

ホテルビジネスを考える 2005年〜

2005年07月18日更新 

ホテルのレストランを考える その7

東京の高級住宅街に調理場を含めて80坪のスペースを利用してたった20席の小さなレストラン。スタッフは調理場4名、サービス5名(私を含む)。

バーカウンターがありテーブルクロスをかけてグラスやチャイナもフルセットのグランメゾンである。

コンビを組んだシェフは都内のホテルでフレンチシェフをしていた実力のある方。このレストランのオープンで初めて会った。

私はシェフに「本当に美味いフレンチを出していただきたい。その料理はいくらで売るものですか」と聞いた。

シェフは「ランチが8,000円でデイナーは15,000円くらいでしょう」と言った。私は「ではその料理をランチ3,000円ディナー6,000円で売りましょう」と言い「料理原価は100%でもかまわないと断言した。

プリフィックスにしてお客様に色々選んでもらうスタイルを採用した。料理によって追加料金をもらうなどもってのほかと思いすべて均一料金。

メニューもその日一番美味しい料理を出すためにランチの前とディナーの前にメニューを打ち合わせて具体的な料理名の入ったメニューを一日2回作った。

ワインについてはホテルの価格の半額で出そうと考えた。ドリンクのキャッチフレーズは「コーラ100円です」

このレストランのオープンは一切の告知活動をしていない。オープン2週間前に店の前に「レストラン間もなくオープン」という張り紙程度の告知だけ。当然、基本的には取材拒否。

営業も週4日間の限定である。

ホテルのレストランでは絶対に実現できない、私にとっては理想的なレストランが出来上がった。

皆様方はこう思っているに違いない。「このレストランなどやっていけるはずがない」と。

そうです、このレストランは完全赤字を目標に作ったものである。信じられないだろう。

その8につづく

 

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