ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第二部 グァム海外リゾートホテルビジネス 1991年〜1995年

C 得意技 ゲリラ商法

2001/8/5更新

新商品は弁当BOX宅配

このアイデアはあの上司である。ネーミングは秘書のジャッキーです。グァムではアイデア会議があって皆でアイデアを出し合う。大変盛り上がり楽しい時である。

客室500の巨大ホテルのルームサービスをどうするか。日本人の3倍時間がかかるので、日本のようなルームサービスではお客様は怒るであろう。お持ちした器材を回収するだけでも半日仕事になる。

つまりルームサービスは経費がかかり儲からない。ルームサービスがなく多少の苦情はしょうがないな。

ある日、ロビーをピザの宅配便スタッフが横切った。「お、これだ」とあの上司がつぶやいた。つまり軽食を使い捨て容器に入れてお部屋に届ける「新・ルームサービス」すぐに商品開発の指示が出た。

冷麺やサンドイッチなどを紙容器で届け、食後はそのままごみ箱に捨てる。回収の必要もありません。名づけて「パラダイス・エキスプレス」日本語では楽園の急行便。

担当セクションはロビーラウンジスタッフ。24時間営業なので朝から晩まで弁当BOXを持ったスタッフがあちらこちらにお持ちした。

これのアレンジで「ゴルフ弁当」を発売。朝早いゴルファーがこのBOXを持って出かける。何ヶ所ものゴルフのフェアーウエイにこのBOXが捨てられ苦情になった。早々と止めた。

チェックアウト時間が12時、旅行会社のお迎えが2時。この2時間お客様は退屈している。ポケットの小銭で食べれるどんぶりブッフェの発売。名づけて「どんぶり De SKY」いつも満席で好評であった。

こうして工夫しながら新商品の発売を続けた。開業前に決めたコンセプトは必ずしもマーケットに受けなかったが、徐々にレストラン&バーが活気付いてきた。

アイデア会議では「グッドアイデア!」という言葉の連発で盛り上がる。

1992年開業以来はじめての夏休み営業。毎日、満室で活気のあるホテルとなった。いままで未達成の売上予算も達成しそうになった。

夏休みが終ろうとする8月28日に風速90メートルのスーパータイフーンの直撃を受けて、ホテル閉鎖になるなんて誰が考えただろうか。(つづく)

 

この原稿は1995年作成、時代錯誤のご理解をお願い致します。

2006年再読