ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第二部 グァム海外リゾートホテルビジネス 1991年〜1995年

A 500室の巨大ホテル開業

2001/7/27更新

従業員は泥棒と無断欠勤者

世界中で働いた経験のある総支配人は、グァムの従業員が世界で1番低レベルと言って嘆き悲しむ。まず信用できない。(ほとんどの外国人に言えることですが)

ホテル内から物がなくなる。

・ナイフ、フォーク、皿、グラスなどは従業員の数ほど無くなった。

・ゲストルームのセールスポイントであったソニーのコンポーネントステレオが3セット消えた。

・時価50万円するディスコのスピーカーの中身が空っぽ。

・お客様の部屋からも多くの物が無くなった。これはキーシステムを変更してどのキーを使って部屋に入ったかが分かるようになってなくなった。

一応、従業員は出口でセキュリティのチェックを受けるのだが、このセキュリティも共犯者の可能性が大きい。

こんな信じがたい出来事があった。

日本人スタッフは順番にホテルの客室に泊まる宿直がある。日本人客の緊急事態に備えて日本語が必要な為。

私が宿直の日に深夜の見回りを実施した。調理場などのバックスペースを掃除する為にトラック諸島出身者が働いている。毎晩10人くらいの肌の黒い人々である。監視役はチャモロの青年ただ1人。

ごみ箱は直径1メートルで高さ1メートルの巨大なもの。私はそのごみ箱のごみの中に手を突っ込んだ。何かビンのような物が手に当たった。すぐに監視役を呼んで中身を全てチェックするように命じた。

表面のごみを取り除くと、その下にお客様用の肉、ハム、ビールなどが山ほど隠してあった。

掃除がすめばホテルの外にあるごみ捨て場にごみを捨てに行く。セキュリティの前をごみ捨てのようにすり抜ける。本当のごみは捨てるが、肉、ハム、ビールは横のジャングルの茂みに隠す。帰宅するときにそれらを持って帰る。お見事!!

無断欠勤があまりにも多い。無断欠勤が続くと解雇になるので医者の診断書が提出される。医者も友人だそうだ。よって従業員は日本の倍以上雇っていなくてはならない。

給料はマネージャークラスのみ月給で、その他の従業員は時給である。働いた分だけ払うようにしておかないと経営がなりたたない。

スタッフの動きは日本とは比べられないくらい遅い。スタンバイも2倍から3倍の時間がかかる。レストランの開店時間に間に合わないことも多い。

少しも気を抜けない。ずっとチェックし監視していなければならない。だが愛想はすこぶるいい。いつもニコニコしているのでこれまた騙されてしまう

このようなスタッフと一緒に、どうやって業績をあげるのだろう。途方に暮れてしまった。

この笑顔に騙される

この原稿は1995年作成、時代錯誤のご理解をお願い致します。

2006年再読