ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第二部 グァム海外リゾートホテルビジネス 1991年〜1995年

A 500室の巨大ホテル開業

2001/7/25更新

朝食スタッフが来ない

開業後、間もないある土曜日の朝食営業での出来事。

ホテルが満室になると1,000人のお客様が滞在している。洋食ブッフェの朝食レストラン(170席)は約350名の利用がある。その日はスタッフ10名アサインしていた。

何か胸騒ぎがしたので営業開始10分前にレストランの様子を見に行った。なんと料理テーブルのスタンバイはおろか何もできていない。スタッフが2名しか来ていないのだ。それでも自分のペースでゆっくり仕事をしている。

「他のスタッフはどうした」と尋ねると「アイドンノー」である。外には約50名のお客様が並び「まだかー」などと怒鳴っている。やられたと嘆き悲しむ暇はない。自分でドアオープンをして食券をいただき席に案内する。満席になるまでコーヒーを注ぐ人もいない。ジリジリ追い詰められる。

それからの出来事はほとんど覚えていない。約2時間後にやっと落ち着きを取り戻したとき、周りには8名のスタッフが何食わぬ顔で働いていた。

何故このようなことになるか調査した。グァムでは隔週金曜日に給料が出る。どうもこの給料日の次の土曜日にスタッフが来ない。つまり給料を貰ってとことん飲み歩くのである。

アルコールに関する法律では、午前2時をもって全てのアルコールの販売が禁止される。クラブやバー、スーパーマーケットなど全て禁止となる。但し、金曜日と土曜日は特別に午前4時まで営業していいのだ。

つまり、給料を貰ったスタッフは午前4時まで飲んだくれているのだ。次の日の仕事のことなど頭にはない。忙しい週末に限って多くの無断欠勤者がでる。

対策を考えたら答えはすぐに見つかった。給料日の次の日に20名のスタッフをアサインする。半分が無断欠勤しても10名来るのだ。

おまけの話。

レストランでポケットに手を入れているウエイターを発見。「ポケットに手を入れてはいけません」という。「??????」聞くと彼は、生まれて初めて「ポケットに手を入れるな」と言われたとのこと。次の日にもポケットに手を入れている。

もう1つ。

日本料理の箸を縦にセットしている。毎日チェックして横にセットしろと指導する。約3ヶ月続けたが今日も縦にセットしている。この状況を上司に指摘された。「もう100回注意していますが直らないんです」「ばかか、グァムでは1000回言わなきゃ直らない」

これがカルチャーの違い。これらの出来事は日常茶飯事。

 

この原稿は1995年作成、時代錯誤のご理解をお願い致します。

2006年再読