ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」
第六部 大阪ブライダルビジネス 2002年〜2003年
プライドを捨てた老舗の一流ホテル 私が話を聞いたカップルが再び来られた。大阪では老舗の一流ホテルチェーンの見積りを持って。 「一流ホテルでもこれだけ割り引いてくれるので何とかなりませんか」というリクエスト。 このカップルが出された見積りを見て驚いた! このホテルの見積りは、60名での通常価格258万円の内訳を詳細に書いている。その横にプランに含まれる物を○印で書き、特典としてサービスする項目を☆印で書いている。 このプランは日取り限定ではなく全ての日に適用と書かれている。総合計258万円に対してプラン合計187万円と書き、「通常価格との差額−71万円です」と見積書に書いてある。 見積りを持ってきたカップルが言った。そのホテルの係は、私のビジネスに対して「皆様高いと言ってますね」と言っている。 このホテルは一流と言う評価を受けている。それは長い年月をかけて先輩ホテルマンの努力があって初めてもらえる評価である。 その一流という評価を捨てて、新参者の私に対して「あそこは高いので」と言う商売はホテルビジネスを自分達で否定している。 素晴らしい先輩ホテルマンが築いた通常価格258万円を、たった1枚のコピー用紙で−71万円と書いてしまう今のホテルマンのプライドを疑う。 たった1枚のコピーが、係の知らない間にホテルの評価として一人歩きしている。 安く出さなければ売れないのであれば、通常価格との比較はやめよう。全く別の商品を期間限定で売り出せばいいのだ。 年中バーゲンを掲げているホテルを誰が評価するのだろう。 この見積りを持って来たお嬢様はルイヴトンのバックを持っていた。自分が価値のあるものには「値引きしてくれ」とは言わないのに。
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この原稿は2002年作成 2006年再読