ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」
第六部 大阪ブライダルビジネス 2002年〜2003年
なにわの商売とホテルビジネス 大阪で長く商売をしている衣装店Aの社長から聞いた話。 とある結婚式場では提携の衣裳店が4店あったそうだ。 客は1番気に入っている衣裳店Aに出かける。 A店でお気に入りの衣裳を選んで店員に「お客様のご注文を合計すると、100万円になります」と言われた。 客は2番目に気に入っている衣裳店Bに出かける。 B店の店員にこう言われる。「A店ではいくらと言われましたか?」「100万円です」「当店では80万円にさせていただきます」 客は3番目に気に入っている衣裳店Cに出かける。 C店の店員にこう言われる。「B店ではいくらと言われましたか?」「80万円です」「当店では60万円にさせていただきます」 客は一番気に入らない衣裳店Dに出かける。 D店の店員にこう言われる。「C店ではいくらと言われましたか?」「60万円です」「当店では40万円にさせていただきます」 客はその40万円という金額をもって、一番気に入っている衣装店Aに戻りこう言う。 「D店で40万円と言われましたが、いくらにしてくれますか?」と。 結局、この衣装店Aは一切の値引き交渉に対して拒否をした。 数年たってとある結婚式場の提携店は衣装店Aの1社のみになった。「いい商品は高い」という姿勢を貫いた結果客からの支持を勝ち取ったのである。 何かホテルのビジネスに似ているな。巷のホテルではこのような会話が日常茶飯事だろう。 「Aホテルで100万円と言われました」「今日ここでお決めいただけるなら80万円にさせていただきます」と。 常にバーゲンをしているホテルに、定価の購買客が寄り付くだろうか?やがてホテルが間違いに気づいた頃、バーゲンを指示した人の姿はすでにない。
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この原稿は2002年作成 2006年再読