ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第四部 東京お台場アーバンリゾートホテルビジネス 1996年〜1998年

2001/12/20 更新

空飛ぶソムリエワイン講座

1998年3月にお台場のホテルへ戻った。(なぜか第4部に戻っています)

「こんな不幸なホテルがあっていいのか」の雑踏は消え去り静かな閑散としたホテルになっていた。

レストラン支配人とフランス料理レストランのマネージャーを兼務。まあ、ご多分に漏れずフレンチは苦戦していた。

一生懸命働く若いスタッフは、客づくりの方法を知らない。企画も何となく考えて提案しているだけ。お客様が入っても入らなくて気にならない様子。

各スタッフを集め「企画を自分達で考えよう」と言った。いろいろディスカッションしたのだが、なかなか新しいアイデアが出てこない。

あるスタッフが「ワイン講座はどうでしょう」と言った。これも特に新しいアイデアとは思えない。

ただしやり方によっては「客づくり」ができると考えた私は「このテーマを採用する」と言った。

このレストランにもソムリエが2人いる。そのソムリエの名前(知名度)ではお客様は来ないだろう。

ここは航空会社のホテルです。現役スチュワーデスでソムリエ資格を持つ人が多くいる。その人を呼んできて「空飛ぶソムリエワイン講座がいいだろう」と提案した。

勿論、彼らはキョトンとしていた。「しかも平日のひまな時でなく日曜日のランチにする」と聞かされた彼らは2度びっくり。

こうして一応全員で考えた企画「空飛ぶソムリエワイン講座」が誕生した。企画会議もなんなく通過して実施された。月に1回4ヶ月のシリーズとした。

このネーミングが受けて新聞にも紹介された。第一回はやっと予約で満席になった。雑誌の記者が取材をしてくれた。スチュワーデスも一生懸命説明していた。(出演料なし)

ギャルソンは親切で物知りを演出したのだが、若いスタッフは上がってしまいすべっていた。ま、この初々しさも受けたのだが。

この企画は第一回終了時に、来られた人たちが予約を入れた為、残り3回も全て満席になった。その後も雑誌を見た人の問合せが殺到したが、我々はお断りする快感に酔った。

お客様も満足したが、企画の提案から満席になるまでの過程を学んだ彼らのほうが喜んだに違いない。

 

この原稿は2001年作成

2006年度再読

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