ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」 コラム

ミシュランのガイドブック その1 2001/9/5 

1988年8月にミシュランのガイドブックを抱えて旅をした。1ヶ月間何の計画もない気ままな旅。フランス全土(ベルギー&スイス含む)を列車の乗り放題バカンスパスを持って。

テーマは「ミシュランのガイドブックの評価は公平か」なんて勝手につけた。

さて、私が働いていたパリのレストランはミシュランのガイドブックで1つ星。やっぱりミシュランの調査員がいつ来たかわからない。

ガイドブックが発売される前にミシュランから電話がある。「前回の調査では、サービスする人が少なかった。トイレが汚れていた。皿が熱くなかった。ソースの味が甘かった。よって今年も1つ星です」

ご存知のとおりミシュランのガイドブックにはコメントがついていない。ただ、星が店名の前に付いているだけ。勿論、営業時間やお勧め料理、使えるクレジットカードなどは書いてある。

この旅行に出る前にある実験を試みた。パリには超豪華なホテルが3つある。リッツ、クリヨン、アテネです。

そのホテル内レストランは値段、雰囲気、客層などほぼ同じレベル。ただ、ミシュランの評価はリッツとクリヨンが2つ星に対し、アテネは1つ星。

3日間のあいだに各ホテルのレストランにランチをいただきに行った。詳細は別にして全体の満足度は明らかにアテネが劣っていた。なんと次の年にアテネは星を失いました。

何の文句もない素晴らしい評価である。本当に公平な評価だと感心した。

ようし、ミシュランのガイドブックを抱えてフランスを廻ってやろうと考えた。日本では知られていない田舎のレストランを中心に行こうと決意した。

こうして私は、文句をよく言う大好きな日本人シェフと2人でフランス田舎の旅に出た。

1ヶ月で48軒の星付きレストランを廻った。このチン道中の詳細は次にて紹介する。

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