ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」 コラム

トローリングでも新記録 2001/8/16 

私はグァム滞在中にトローリングに6回行った。港を出て4時間くらいひたすらにルアーを流しながら船を走らせる。

でも、ほとんど釣れない。せいぜい小型のシイラが1〜2匹かかればいいほうである。テレビなどで見るカジキ(ブルーマリーン)などはほとんどお目にかかれない。

1995年5月、日本から友人が3名来ていたのでトローリングにでも行こうとなった。私は釣れない事を前提に、シャンパンやビールやつまみを船に積み込んで飲むことにしていた。

パセオ球場横の桟橋から船はゆっくり出て行った。顔見知りのキャプテン「トム」と話しながら、仕掛けをセットしていく。シイラ用の竿が2本、中型狙いの竿が1本、30センチのイカに似たビニールを付けた大型狙いの竿が1本セットされた。

さてチャンパンでも抜いて乾杯でもしようかなと思った瞬間、大型狙いの竿が「ビッシィ」と大きな音をたてた。突然、リールがギーという音をたてて糸が出て行く。港を出てから10分も経っていない。

キャプテン「トム」が「ヒット!!」と叫ぶ。私の友人「玉さん」が釣り座に座る。竿を持つが支えているだけで悲鳴をあげる。

リールが巻けない。ただただ耐えているだけの時間が30分続いた。いったい何が掛かったのだろうか。想像もつかない。

ようやくリールが巻けるようになった。ゆっくりリールを巻いていくと、又強い力でリールから糸が出て行く。玉さんは竿を持つ手がけいれんするほど耐えに耐えている。

約1時間たった時、船尾から200メートル後方ででかいカジキが飛び上がった。「なんやあれは」と思うくらい巨大なカジキデある。

魚の姿が見えた。あんなでかいのは上がらないよ。30分位、必死でリールを巻いてもカジキが頑張り、同じくらいの糸が出て行く。ヒットから2時間が経過した。

玉さんの全身にバケツで水をかけながら「頑張れ、頑張れ」の大合唱。ようやく、船の近くにカジキが寄ってきた。「すごい」と全員が目を見張る。

その瞬間に下に潜っていく。玉さんはまたも悲鳴を発する。

船はいつのまにかロタ島の近くまで引っ張られている。これはトローリングというお遊びではない。スポーツでもなく、すごい死闘である。

2時間半の死闘のすえようやくカジキが船に引き寄せられた。トムが木のバットでカジキの頭を叩きまくる。ようやくカジキは息の根を止めた。

全員で船に引き上げようとするが、大きすぎて重すぎてなかなか上がらない。やっとの思いでカジキを船に引き上げた。

このカジキはグァムでは26年ぶりに上がった超大物であった。船のマストにカジキの旗を掲げて港に凱旋した。カジキを吊り上げるクレーンも錆びて使い物にならない。

私の足の長さとカジキの鼻の長さが同じだ。その後、グァム島の居酒屋ではカジキの刺身が1週間は出ていた。

身長3メートル10センチ、体重210キロのカジキとの死闘の物語でした。あ〜疲れた。

 

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