ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」   たべもんや三度笠 

 和歌山加太 荒神丸 番外編  2002/10/15

私がホテルの釣り部に所属していた15年前の話。

釣り部の定例会で和歌山加太港にある荒神丸をよく利用していた。

そのメジャーな釣り船「荒神丸」で「真鯛とハマチ」が上がっているとの情報を入手。

まんぷく寺協力隊のAさんと急遽釣りに出かけることにした。

10月15日(火)午前2時45分、静かな大阪市を愛車「白いねこ」は出発した。

「8匹釣ったら○○と○○に持って行こうな」など会話がはずむ。

午前4時過ぎに和歌山県加太港に到着。

なんと多くの人がすでに到着済みで、船の陣取りを始めている。

その人々の格好を見て驚いた。我々以外の全ての人が完全装備なのだ。

どんなに大波が来てもびくともしない格好だ。

つまり軽装で来ているのは我々二人だけ。この二人完全に浮いている。

船に乗っても船頭さんから「はじめてか?」と聞かれるありさま。

大物釣りの仕掛けも、ハリスが10メートルもあり取り扱いに慣れていないと苦しい。

夜明け前に船は出港した。釣り場まで20分で到着。

強風が吹き、しかも海がうねっている。大波が来ると海面が顔の位置まで上がる。

明け方私の竿が大きくしなった。「きた!でかいぞ!」バチッと仕掛けが切れた。

仕掛けを替えてすぐに大きな当たりがあった。「きた!」バチッと又切れた。

しばらく苦しい時を過ごした時。これまで以上の大きな当たりがあった。

ググググと竿を海面に持っていく。「これはでかいぞ」とつぶやき慎重にリールを巻く。

船頭さんが「ゆっくり巻けよ!」とアドバイス。

その瞬間、バチッと大きな音を立てて竿が上がった。「あ〜、悔しい。逃げた魚はでかい」

協力隊のAさんも大きなアジを釣り上げたが目の前で海に落としてしまった。

我々の悪戦苦闘とは裏腹に、となりのおじ様が大きなハマチを釣り上げた。

その後もこのおじ様、次々とハマチを釣り上げる。結果6本上がった。

最後に50センチの真鯛まで釣って見せてくれた。お見事!!

必死に頑張る我々に船頭さんが「今日はこれで引き上げる」と終了宣言。

8名乗ったこの船で、完全ボーズは我々二人だけ。

船頭さんから「残念やったな」と味付け海苔を貰った。

帰りの船は大荒れで波が容赦なく降りかかってくる。隣のおじ様が寄ってきた。

「何か釣った?」「・・・・・いいえ」「はじめてか「「・・・いいえ」

このおじ様、哀れな私に一番小さなハマチ(45センチ)を1本くれた。

感動した私は「ありがとうございます」と言って90度頭を下げた。

大波が我々を襲って、我々の涙を洗い流す。

釣りたての天然ハマチを2時間後にさばいて刺身で食った。

「美味いな、こんな美味いハマチを食ったの初めてだね」とAさんと慰めあう。

アラは味噌汁にしてすすった。新鮮なだけに臭みは全く無くとても美味しかった。

プロ仕様のおじ様、ありがとうございました。

ハマチと真鯛の配給を待たれていた皆様、ごめんなさい。

 

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