ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第一部 ホテルレストランビジネス 1982年〜1990年

第二章 オリジナルマーケティング戦略

客づくり  顧客獲得大作戦

2001/7/10更新

女性顧客大作戦 その1

レストランでランチ営業のターゲット選択は困難である。まず接待がある。近隣には大手輸入商社や薬品会社があり接待利用も大変多かった。

しかし、接待客の獲得は全く仕掛けが利かないことに気づいた。ようするに、こちらがどう仕掛けようがすべて先方次第である。

料理の好みも、曜日も、時間も、人数もすべて先方の指定である。1つでも出来ないと平気で他の店を探す。接待が欲しいレストランは当日のサービスに全力をあげて頑張り、次回のあてにできない予約を期待する以外に売上げを上げる事ができない。

最大の問題は景気に左右されることである。普通のレストランマネージャーなら接待客獲得しか思いつかない。

そこで私は女性顧客獲得の仕掛けを考えた。(今でこそ女性客は多いが開業当時のランチの女性客は10%もなかった)

大阪ミナミの心斎橋界隈はファッションの街でもあり、昼間買い物客が大勢ウロウロされている。大声では言えないが、女性客がレストランに来られたときこのようになる。

・常に私が1番美しいと思っている。

・自分以外の女性客は欠点しか見えない。

・レストラン内では他の女性にライバル意識が芽生える。

これらの特色を分析して、ランチ営業を女性客で満席にするという目標に向かって、女性顧客獲得大作戦の指示をだした。(接待客はいらないと言ったら経営サイドから馬鹿かと言われた)

一言で言えば「ほめたたえる作戦」である。

具体的には、「本日のお召し物はとても素敵でございますね」と小声でささやく。すると「え、わかりますか。ありがとう」と言われる。お帰りのときに「この次は、もっとオシャレして来ます」となる。たった一言申し上げただけで「この次は」と顧客になりたいと言ってもらってます。お分かりですか。

私は、アイドルタイムにデパートに出かけ女性服の流行を色々調べた。

「本日は、新しいイブサンローランですね。さすがですね」と言ったら、大変喜んでいただけます。(顧客への当選確実)

女性のお客様をほめるのは、アクセサリーから靴にいたるまで何でもございます。自分の身に付けている物をほめられて怒る人はいない。言うまでもなく本当にオシャレな方が多いのも事実である。

それは飲食に使えるお金が沢山あることかもね。

(女性の団体客獲得その2へ続く)

 

この原稿は1994年のものです。少々時代錯誤の部分があることをご理解ください

2006年再読