ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」
第一部 ホテルレストランビジネス 1982年〜1990年
第二章 オリジナルマーケティング戦略
店づくり参考事例
2001/7/3更新
ギャルソンいじめ 大阪ミナミの小さなフランス料理店での話。予約をしてちゃんとした格好で出かけた。店にはほとんど客がいない。 メニューを差し出したギャルソンは、何も具体的に書かれていない1番安いコースを指差して、「本日は、このコースはできません」と言った。これは店の売上を上げる為の最もバカな方法である。 私はアラカルトから何品か選びギャルソンを呼んだ。なんとそのすべてが出来ないと言う。「じゃあ何が出来るんですか」と逆に質問した「ルージェノポアレ・ヴァンルージュ(イトヨリの赤ワイン)、フリカッセプーレ・ソースヴァンブラン(若鶏の白ワイン煮)」などなど。 これは、よほどの専門知識がないと分からないのだが、自分がいかにも博識なふりをしている。それでも我慢してその中から選び注文した。 そして、ワインリストを頼んだ。そのワインリストを見て驚いた。すべてフランス語だけで日本語が書かれていない。 私はこの若い生意気なギャルソンと店の将来のために反逆した。ワインを「ジュブレイシャンベルタン・ディズヌッフキャトルバンユイット(1988年)」とフランス語で注文した。 そしてワインを持ってきたギャルソンに「このワインのセパージュ(ぶどう品種)は何ですか」と質問した。この質問に驚いたギャルソンの態度が急変した。 その後も怒りが収まらず、客の立場を利用して徹底的に責めまくった。挙句の果てに彼は「お客様は詳しいですね。キュイジニエ(調理人)ですか」と言ってきた。 「いいえ、○○銀行に勤めてます」と言ってやった。 その後、こいつが反省したのか美味しい料理があるかは分からないが、この店は元気に営業を続けている。 お客様にいじめられ教育されてはじめていい店になっていくのである。
|
この原稿は1994年のものです。少々時代錯誤の部分があることをご理解ください
2006年再読