長所と短所

人は誰でも長所と短所を持っている。それを分かりやすく言うと得手不得手。私が調理見習をしていた頃、短所をこっぴどく叱られた。努力してもなかなか直らない自分に気づいた。

では長所を徹底的に伸ばそうと思った。それは「しゃべり」である。人を笑わせることが小学生の頃から得意であった。地方のホテルでウエイターとしてデビューした。全テーブル爆笑サービスを演出した。

宿泊者のコメントカードに私の名前が出ない日がなかった。私が休みの日のお客様はかわいそうだなと本当に思ったのだ。これは誰にでも出来る技ではない。あのまま短所を攻められていたら、いじけてこの商売から足を洗っていたかもしれない。

この自分の経験からスタッフへの教育方針をはっきり決めた。長所を徹底的に伸ばし短所は目をつぶるである。

自分の得意技を伸ばし店一番の技にしろと指導する。デザートが好きと言えば、デザートを語らせたら右に出る人なしになれと。グラス磨きが好きなら１番早く綺麗に磨けるようになれと。

このように各自の長所の力が結集すると店の実力はかなりのものになる。

どうか皆様、若きスタッフの短所には目をつぶり長所を大いに誉めてあげようではないか。