ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第一部 ホテルレストランビジネス 1982年〜1990年

第二章 オリジナルマーケティング戦略

店づくり(教育訓練計画)

2001/6/29更新

笑顔の環境づくり

私は自分の経験で8時間以上お客様と接していたら笑顔が出ないと知っている。地方のホテルで朝7時からコーヒーハウスで朝食をサービスし、昼は宴会場で結婚式と披露宴のサービス、ディナーは何百名もの修学旅行のサービス。明日のスタンバイを終えて帰宅は午後11時になる。又、明日は午前7時から。休みは月1〜2日。

これは修行だと思って頑張っておりましたが疲れがどうしても顔に出てしまう。挙句の果てにお客様から「あなたも大変ね」と同情されるありさま。これでは笑顔のサービスなんて夢物語。

私はいいレストランを作る第一歩は、笑顔をつくれる環境づくりだと思っている。

レストランが会社組織になっていれば就業規則があるはず。年間休日と就業時間と休憩時間など細かく決められている。レストラン運営で大切なことは就業規則を意地でも守ること。

配下スタッフには年間休日と有給休暇の完全消化を約束する。休憩時間も全員公平に与える。残業に関してもこちらからの指示であれば全額支払う。

多くの人はこんなこと無理だと考えるだろうが、これを実現しなければ繁盛レストランづくりはできないと信じている。休みも取れず、残業しても手当てが貰えず、休憩もあったりなかったり。このような環境で残された売上げは働く人たちの根性で作られたものである。このようなやり方を続けていけるはずもなく、永遠の繁栄などあるはずがない。

私が配下スタッフに約束したことは、公休と有給の完全消化である。ホテルには定休日がないので交代で休むことになる。出来る限り希望公休を聞いてやる。就業時間は8時間で何かの事故がない限り残業もさせないと約束をした。

しかし、働く8時間は息つく暇も与えない。必死で働かなければ消化できない仕事量を与える。この8時間は納得できる範囲内労働である。就業規則も守られているし希望も聞いてくれる。だからスタッフの顔に笑顔が出来るのである。今の若い人は納得しないと笑顔はできない。

この笑顔の環境づくりは開業前に確立しなくてはいけない。すでに営業しているレストランでこれを実施すると経営効率悪化が表面化して経営サイドから指摘があるかも。

それよりなにより売上げを上げれば全く問題ないし「全員が笑顔です」

この原稿は1994年のものです。少々時代錯誤の部分があることをご理解ください。

2006年再読