ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第一部 ホテルレストランビジネス 1982年〜1990年

第二章 オリジナルマーケティング戦略開発

その1 商品づくり

2001/6/26更新

誰が美味しいと言うか

誰が美味しいと決めるのか。これはターゲットの選択である。私はシティホテル内レストランで営業していても宿泊客をターゲットにしたことはない。

宿泊客は1日1000人だが大阪ミナミは1日30万人の中からターゲットを選べたからである。

その飲食店がある立地や周りの環境や人通りなどを十分調査検討してターゲットを選択する事は極めて重要なポイントである。お客様の年齢、男か女かカップルか、グルメ指数など考慮することは多い。

例えば、あらゆる客層をターゲットにするホテルのコーヒーショップやファミリーレストランなどの料理は美味しいとは思わない。まずくないのである。

もし、私が食べて美味しい料理があると子供やお年寄りには受けない可能性が大きい。あらゆる客層を相手に商売するのでそのすべての人が美味しいと言う料理はありえない。

つまり、すべての人にまずくない料理が揃っており、それで納得するから繁盛しているのである。

皆様は過去に「感動する美味しい料理」にめぐり合ったことはありますか。その飲食店はおそらく専門料理店ではありませんか。

ターゲットが絞れていればいるほどその人に合ったすごい美味しい商品が開発できるからです。

接待客は中年男性が多いのであっさりした味付けが必要でしょう。ご婦人たちは皿数沢山料理が喜ばれる。昼と夜のメニューも違って当然。

今日来られているお客様に「美味しい」と言っていただくために、お客様を見つめこの人たちにどのような料理を提供すれば喜んでいただけるかを常に考える。

飲食店で働く人たちが「美味しい」と思っていても、そこにいるお客様にとって「美味しい料理」であるとは限らない。

この原稿は1994年のものです。少々時代錯誤の部分があることをご理解ください。

2006年再読