ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」
第十部 ゲストハウスの中に僕がいた 2006年-
開業物語 横浜編 その4
2006年11月 今は閉鎖された横浜のシンボルマリンタワーを撮影 まんぷく寺写真部 「YOKOHAMA」らしさ 私はウエディングという商品を作るときに、4つのテーマを考える。そのテーマとは、結婚披露パーティがお開きになった時に、招待したゲストに言ってもらいたい言葉である。 ひとつは、「楽しかった」 ふたつめは、「おいしかった」 みっつめは、「お二人らしかった」 そして、「○○らしかった」 この○○とは、その土地を表す。横浜でのウエディングの場合は、「横浜らしかった」となるのです。 私はこの「横浜らしかった」というテーマに対して、かなりの時間と手間をかけて研究した。 横浜駅前には多くのストリートミュージシャンが歌っている。その中から横浜らしい雰囲気を持っているバンドを探した。もし見つかったらプロデビューということで専属契約を結ぼうと考えた。 だが、いなかった。 元町商店街で売れているケーキ屋さんを探して、引き菓子の契約を取ろうとした。「私共と独占契約をしてほしい」と何件も申し込んだ。 だが、どこからも相手にされなかった。 横浜には「K」のマークが入った有名なバック屋さんがある。そこに引き出物バックの作成を交渉した。もし、これが成功したら、横浜の皆様はゲストハウスのロゴと「K」のマークが入ったバックが欲しくて爆発すると思った。 だが、諸事情により相手にされなかった。 私が新規で接客するゲストには必ず、「横浜らしいことを教えてください」と聞いていた。 あるゲストのお母様からこのような話を聞いた。 「横浜では、大晦日の午前0時に、横浜港に停泊している船舶がいっせいに汽笛を鳴らすんです。それはもう感動しますよ」 この話を聞いた瞬間に「横浜らしいウエディングを思いついた」 新郎新婦は無事、チャペルでの結婚式を終えた。フラワーシャワーをするために、皆様が並んでいる階段へ進む。新郎新婦が階段を降りようとするその瞬間にカリオンの鐘が鳴り響く。 「カラーーン、カラーーン、カラーーン」 その後に、ボーズのスピーカーのスイッチが入れられ、 「ボーーーーーーーーーー。ボーーーーーーーーー。ボーーーーーーー。ボーーーーーーーーーー。」 と汽笛が4回鳴り響く。 その汽笛を聞いた皆様は「えーー、横浜らしいジャン」と言う。 このように試行錯誤を繰り返しながらも「横浜らしいウエディング」を考え、実施したのである。
よくホテルの皆様から「ホテルらしいウエディング」と聞く。それって、いったいなんだろう?
その5につづく
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