ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」
第十部 ゲストハウスの中に僕がいた 2006年-
独立秘話 その6 仕事を失った私に、地方ホテルの社長様からメールが入った。 「T&Gが進出してくるらしい。何か対策を打つ必要がある。アドバイスをお願いしたい。」 私は再び地方都市に飛んだ!!
この場所にT&Gの施設が建設される予定で、あと4ヶ月後の開業。 このホテルは地元での評価も高い一流ホテルである。結婚を考えるカップルも多くホテルに見学に来ている。ゼクシィなどの結婚情報誌にも毎月広告を出している。 婚礼を担当する皆様もまじめで数字的な分析を正確に行なっている。 唯一、危惧されたことは、担当スタッフの皆様が「売っている商品が違うので、T&Gの進出は影響ない」と口をそろえて言った事である。 この地方ではゲストハウスらしき施設はあるが、全国規模のゲストハウス企業は初である。 私の仕事は、全国展開するゲストハウスウエディングの大企業軍団がどれほど恐ろしい集団であるかを、地方ホテルで一生懸命働くスタッフの皆様にご理解いただくかであった。 T&Gの施設は2バンケットで、限られたマーケットから300組の獲得を狙ってくる。このマーケットの調査を綿密に行い、どの会場がどれほど奪われるかの予想を出した。 このホテルは、これまでの年間施行数の36%も奪われると予測した。(調査方法は企業機密) T&G施設が開業準備室で仕掛けてくる割引戦略への対策案、開業後に下見に来るカップルへ、違いを見せるショールームのディスプレイ方法。ハウスウエディングにはできないホテルの新規接客方法などのセミナーの実施。 私はホテルの社長様に現状報告と、これらの対策をレポートした。 やはり、ホテルのブライダルとハウスウエディングが違うと考えられている皆様方には、危機感は伝わらないのでしょうね。 案の定メールにて冷たく「今回の件は無かったことに」と書いてあった。 私は起業してこのメールをいただくまで、多くの経営コンサルタントの先生方の話を聞いていた。そこで学んだ重要な事は、契約前にはクライアントを立てること、決してマイナス意見を言ってはいけないことであった。 私の「それが原因で目標達成がならなかったらどうするのですか」と言う質問の答えは、「契約後に厳しい指摘をはじめ、結果が出なかった時は、コンサルタントの言うことを聞かなかったでしょ」と言うらしい。 私の現場たたきあげ人生で、このようなパフォーマンスはとてもできない。あくまで目標達成が成果であり、その目標達成に向けて全力で戦うことである。 その結果、収入(売上)があがり評価もいただけると考えている。よって、真剣に考えれば考えるほど相手への厳しい指摘から始まるのだと信じている。 そうしなければビジネスは結果と訴える、この「まんぷく寺」のテーマに嘘があることになるではないか。私は誰から何て思われようが、このポリシィを曲げることはできない。 ということで、今回もやっぱり仕事になりませんでした。 そしてまんぷく寺協力隊Kさんからの資料です。この完成されたT&G施設にて結婚式に招待された方の写真レポートでございます。
水の見えるチャペルですね
テーブルセットもゆったりとゴージャスに飾っていますね
映画のワンシーンのようなデザートブッフェでしょうか 2007年3月末決算 T&G ウエディング事業部売上 458億円の目標を見事達成した。日本の結婚披露宴ビジネスが2兆円といわれている中で、2.3%のシェアを獲得されました。お見事でございます。 それから、あのホテルのホームページでウエディングをクイックすると、只今リニューアル中と出ている。
ある日、地方の立派なホテルの総支配人になっている先輩から電話があった。 「おい、誰か優秀なウエディングプランナーいないか」 私はすぐにその地方へ飛んだ!
|