ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

第十部 ゲストハウスの中に僕がいた 2006年-

2007年4月2日更新 

開業物語 大阪編 その3

 2002年12月大阪南港に建設中のゲストハウス施設

 まんぷく寺写真部撮影 WTC開業準備室より

 

大阪に建設中のこの施設は、大阪の皆様でさえ遠い場所にあるイメージです。(本当に遠いのだが)

開業準備室で、ほとんどの新規カップルに言われたことがある。「田舎から来る親戚がこの場所までたどり着くかな」

ごもっともでございます。私の仕事として、何とかこの「遠くてたどり着かない場所」というイメージを変える必要がございました。

私が一生懸命考えた結果が、「大阪駅から、ゲストハウス定期バスを運行すること」であります。

しかし、JR大阪駅など多くの関係会社に問い合わせたが可能性はゼロであった。つまり今でも飽和状態の大阪駅で、新たに停留所など出来るわけがないという回答。

そういえば、駅から遠いホテルのバスが、JR大阪駅にお客様を迎えに行っている。そのホテルバスは、大阪市内のビックネームのホテルさん達です。

同じ営業圏内の大阪南港にある、ハイアット・リージェンシー・オーサカさんも、すでに大阪駅にバスを運行していた。

そのハイアットバスのスケジュールを見て驚いた。2時間に1回しかお迎えに行っていない。理由は大阪駅往復に1時間以上かかるために、1台のバスでは2時間に1回しか行けない計算である。

「そうか、ハイアットバスは1台で運行しているのだ。・・・・・・・そうだ、もう1台増やせば1時間に1回迎えにいけることになる。その1台をこちらで用意すればよいかも」

すぐに私は、ハイアット・リージェンシー・オーサカの総支配人を訪ねた。

私「結婚を決めたカップルを大阪南港に呼びませんか?そのカップルにホテルウエディングとゲストハウスウエディングをお選びいただいたらどうでしょう。名づけて「大阪南港パラダイスウエディング計画」でいかがでしょうか。多くのお客様を、大阪駅からお迎えするためにハイアットバスをもう1台増やしませんか。その費用は私どもが負担させていただきます」

さすがに外資系ホテルの総支配人様でございます。私のこの発想に柔軟に対応していただき「ぜひやりましょう」と即答された。

そして、ハイアットバスにゲストハウスのロゴの入ったバスが、1時間毎に大阪駅にお客様をお迎えすることとなりました。

そして私はこのような新規を行ったのでございます。

カップル「田舎から来る親戚がこの場所までたどり着くかな」

私「いくら田舎からでも大阪駅までは来れるでしょう」

カップル「まあ、大阪駅までは来れると思います」

私「ご安心下さい。大阪駅に定期バスを運行する予定でございます」

ネガティブ要因を、ポジティブ会話に変えて、開業前に369組の新規成約を取ったのでございます。

その4につづく

 

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