ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」  

ホテルビジネスを考える 2005年〜

2005年11月12日更新 

特別寄稿 披露宴司会者のマーケット

2005年11月12日現在、披露宴司会者でベテランの皆様方から掲示板への書込みをいただきました。これまでにない盛り上がりを見せております。

管理人としては大変喜んでおります。理由は、これまで比較的若い皆様の書込みが多く、年齢的なギャップやその立場の違いであまり本音での議論に発展することがなかったからです。

そして今回、管理人としての本音で申し上げます。テーマは「披露宴司会者のマーケット」です。

昨今、ブライダル関連マーケットを含めるマーケット規模は約5兆円といわれています。結婚式と披露宴関係では約2兆円といわれています。

この数字に関して、私は多少疑問を持っております。よって私の経験から実際に近い数字を皆様にお伝えして「司会者のマーケット」を考えてみます。

私は、ある結婚式場の開業準備室長として開業前の仕組みをつくりました。そして開業後はその施設の総支配人としてオペレーションを担当しました。

この施設は4バンケットで年間1000組の受注を受け、年間売り上げ40億円を達成しました。ブライダル業界におられる方ならこの数字がどれほどすごいかご理解されますよね。

この40億円の内、「披露宴司会者にいくら支払った」が今回のテーマです。

司会会社には2800万円しか支払っておりません。そして司会者には1400万円しか渡っていないのです。

この結婚式場には年間70,000人のゲストが訪れました。そのゲスト一人当たりの客単価は57,000円です。

この57,000円のうち司会者本人に支払われたお金はわずか200円です。57,000円を100%とすると司会者はわずか0.35%のシェアしかもらえないのです。司会会社が計上する売上は、たった0.7%のマーケット規模に過ぎません。

このわずか0.7%のシェアを、どれほど多くの人たちが奪い合っているのでしょうか?

これが披露宴司会者のマーケットです。ご理解いただけたでしょうか?

先に申し上げました結婚式と披露宴のマーケットが2兆円とするならば、司会者には日本全国でわずか70億円の配当しかないと言えます。

日本全国に1万人の司会者がおられたら一人の年収は7百万円です。10万人の司会者がおられたら年収は70万円になってしまいます。

私の仕事はブライダルマーケット2兆円の奪い合いです。私が開業準備から立ち上げた施設の売上合計でもマーケットの0.5%には届いておりません。

私は20年前にフランス料理店のソムリエをしておりました。自分でどれだけ努力しても年間飲料の売上は2億円でした。

もし現在までソムリエを続けていたら2億円以上の売上はあがらないのです。ソムリエというスペシャリストからマネージメントというゼネラリストへの方向転換をしたから現在の私があります。

全国の披露宴司会者の皆様方に申し上げます。司会業というスペシャリストの世界から、その技術を生かしてマネージメントというゼネラリストへの道を選ばれたら年収は10倍以上になりますよ。

(公開しました数字はインサイダーにならない範囲でアバウトになっております。ご了承ください。)

 

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