ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」
配ぜん人倶楽部
配ぜん人と紹介所の将来を考える その2 配ぜん人の給料は時間給である。その人の経験によって時間給にランクがつけられている。東京圏では初めて働く配ぜん人にも1,000円以上の時間給が支払われる。 勤務時間が増えることにより時間給も少しづつ上がっていくシステムになっている。その昇給のペースはホテルのアルバイトと比べてはるかに早い。私の知る限り最高時給は2,500円を支払った記憶がある。 勤務時間は4時間と8時間が基本になっている。しかも食事を食べる時間も勤務時間に入れるようになっている。勿論、食事も現物支給が基本。その他、決められた交通費の支給がある。 私はこのシステムに大きな問題が潜んでいることに気づいた。 それはホテルで一緒に働く仲間の利益と言う目的に対し、配ぜん人の利益が反比例することだ。つまり配ぜん人は単純に働く時間が長ければ長いほど自分の給料が上がる。 ホテル側としては長く働かれると配ぜん人件費が膨れ上がり、利益そのものが減っていくことになる。(利益があるとして) 配ぜん人はだらだらと時間をかけて働けばすべての配ぜん人が喜ぶし、払われる給料の定率を紹介料として貰っている配ぜん人紹介所も喜ぶ。 ホテル側としては社員を見張り役に付けて配ぜん人件費の削減に努力している。ただホテル側の社員に若いボンボンが多いため本来の削減に成功しているとも思えない。 ホテルで一緒に働くサービススタッフの目的はひとつ。お客様の満足度をあげて再び利用してもらうこと。この目的に向ってチームとして働かなければならないのに、そのチームに利益が反比例するシステムが存在することは大問題だ。 まだホテルの宴会等がフル稼働しているときは、このシステムも膨大な利益にかき消されて「こんなもんだ」と議論さえなかった。 昨今の厳しい時代に突入してホテルマネージメントは単純に「配ぜん人件費を削れ」としか考えつかない。 そこで単純に実施された配ぜん人件費削減策が、時給の高い人を辞めさせる。月の労働時間が200時間を保証する常備(常勤)と呼ばれるプロの配ぜん人をいとも簡単に切ったのである。 平成12年と13年の有料職業紹介の統計によると、常勤勤務者が平成12年に比べると13年はマイナス76%になっていることで裏付けられる。 優秀なプロの配ぜん人がこの業界から足を洗わなければならない事態に陥ったのである。 その結果、トレイをろくにもてない初心者が配ぜん人として紹介されてくる。ぶっかけ事故が多発する。サービスの低下は火を見るより明らかになっている。 高いといわれる配ぜん人の時給だが、事務所で何もしない管理職の給料から比べると申し訳ないほど安い。その管理職が1人いなくなれば数名の優秀な常備が働ける。 時給が高い常備を辞めさせる事は業界にとって大きな損失である。もう一度、この問題を考えようじゃないか。 その3につづく
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