ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第五部 福島ホテル&ゴルフリゾートビジネス 1997年〜1998年

2001/12/4  更新

突然の出来事

1997年12月につらい植栽作業が終わり無事正月を迎えた。生まれてはじめての雪の正月である。これまでのホテルマン生活で正月が休みなんて初めて。なかなかいいもんだ。

あの社長からは何の指示もやってこない。経費削減の結果についても「ノーコメント」が続く。それでも1998年度は必ず黒字経営に変えてやる。この決意は強い。

正月があけて大阪に飛んだ。弟子に作戦伝授である。春までに何をすればいいかを打ち合わせた。これで何とか作戦が成功するような気になった。

当時の幹部社員を集め、作戦への理解と協力を求めた。全員が「やりましょう」と言ってくれた。これで準備は整った。

植栽作業で遅れたスケジュールも立て直せた。「よし、結果を出してやろうじゃないか」

1月の末に「グァムの同窓会」に東京へ出かけた。南国の楽園の楽しい会話でえらく盛り上がった。「仲間って本当に大切だな」と上機嫌で東京のホテルに立ち寄った。

「みんな元気か、俺も頑張っているからな」などと笑顔で各部署に挨拶して回った。以前の上司と廊下でバッタリ会った。

「あ、のぶおじさん。俺な、沖縄に転勤になるんや」「え、良かったですね。おめでとうございます」「それはそうとして、なんでのぶおじさんが帰ってくるの」「え!」

全く突然のひと言であった。私は何も聞かされていない。

そして、私は2度とこのゴルフ&リゾートの従業員の前に出ることはなかった。(つづく)

 

この原稿は2001年作成

2006年再読

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