ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第六部 ホテルのブライダルビジネス 2002年

2002/4/2  更新 

ホテルブライダルの危機 その2

2002年4月現在、ホテルのブライダルビジネスは危機を迎えている。この現状を理解しているホテルマンはいるのだろうか疑問でもある。

ホテルが決定組数を増やす為に実施している「ブライダルフェアー」について考えてみる。下見見学者を集める為に、いったい幾ら掛けてブライダルフェアーを実施しているのだろう。

会場設営、模擬結婚式、ドレス展示、ファッションショー、料理サンプル、引き出物陳列、試食会などなど。どうせ協力会社に多くを払わせるにせよ半端な金額ではないはず。

フェアー告知の為に、資料作成、リーフレット印刷、ポスター作成などの製作費用が乗る。その上に、結婚情報誌に多額の宣伝広告費用を払う。

半年以上前からフェアーのブロックを掛けて、宴会も婚礼もいっさい取らずに宴会場を押さえる。この数字は議論されないだろうが結構大きいのではないだろうか。

当日は何が何でも仮予約にもっていこうとキッチンも含めスタッフ総出で接客に当たる。この人件費を費用に計上しているのだろうか?

このように多額の費用を掛けて実施するブライダルフェアーだが、希望どおりの組数獲得にいたるのであろうか。

たとえ費用対効果を論じても、代替案など持っていない為「やるしかないよな」と結論つける。最近の月刊ホテル旅館には、年間56回もブライダルフェアーを実施したホテルがあると書いていた。まったく分かっていない。

ではなぜホテルが提案する「ブライダルフェアー」の決定率が低下しているか教えてやろう。

結婚情報誌が発売される10年以上前の花嫁さんは10人1色。ホテルが見せる1色の展示でも素敵であれば、10人全員が「素敵」と思っていた。だからフェアーで多く決定した。

結婚情報誌が出始めた10年前から花嫁さんは10人10色になった。ホテルが見せる1色の展示では10人に1人しか素敵と感じなくなったのだ。だから決定率が急降下しただろう。

結婚情報誌が氾濫する現在の花嫁さんは1人10色になっている。ホテルがあの手この手で見せ方を変えても「私の舞台じゃない」とそっぽを向かれている。だから決まらないのである。

ただでさえ経営が厳しいホテルにおいて、多額の費用を掛けてブライダルフェアーを実施しても予算達成が見えてこないだろう。

増え続けるブライダルフェアー費用、減り続ける決定組数。さて、ホテルマンの皆様どうしますか。どうすればいいか分かっていますか。

この状況は、ホテルブライダルの危機その2と言ってもいいのでは。(その3へ続く)

 

この原稿は2002年作成  2006年再読

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