ホテルマンの駆込み寺「まんぷく寺」

第六部 ホテルのブライダルビジネス 2002年

2002/4/2  更新 

ホテルブライダルの危機 その1

2002年4月現在、ホテルのブライダルビジネスは危機を迎えている。この現状を理解しているホテルマンはいるのだろうか疑問でもある。

昨年、ホテル・式場のブライダル担当幹部が集う会に何回か出た。50才を超える幹部の皆様は「昔はよかったな、またあの時代がこないかな」と口を揃えて言う。

この人たちが言う昔とは、結婚情報誌が出版される前の時代である。結婚を考えるお二人は、互助会系の式場か、親が決めるホテルで結婚式をやる方法しか知らなかった。

ホテルや式場の見積りが欲しければ、自分で見学に行くか、資料請求するか、結婚式場紹介所に出向くしか方法がなかった。

それまでホテルや式場は何の努力もせずに、決定組数を増やし続けブライダルビジネスで儲けていた。

1993年5月24日にゼクシィ関東版が発売された。そして2001年12月22日に茨城・栃木・群馬版が発売されて、沖縄県を除く日本国内すべての地区でゼクシィが発売され、合計で30万部も売れる雑誌と育っていった。

ゼクシィが売れたのは、結婚したいお二人が欲しい情報を雑誌の中にまとめたからである。ホテルや式場のチャペルや神殿や宴会場の写真を多く出した。

見積りも80名で必要なもの基準を統一して、ホテル・式場の見積り合計額比較などを公開した。

ゼクシィが発売された当時のホテルは、「下品な雑誌ゼクシィに広告を出すのはホテルの恥」と考えていた。よって何年も広告を出さずに時代の流れを見誤った。

しかし、早かれ遅かれゼクシィに広告を出さなければ下見見学者が減ってしまったと気づく羽目になる。そして、多額の広告費用負担を余儀なくされた。(1ページ広告は軽自動車1台分)

現在、ゼクシィ関東版は毎月7万部を売る。2001年度の関東圏で結婚披露宴をしたのが、約15万件強である。そのカップル全員が結婚するまで6冊もゼクシィを買っている計算。

それでも最近のゼクシィの影響力は低下している。その原因は結婚情報誌の氾濫にある。けっこんピア、OZウエディング、アイウエディング、ヴァンサンカンなどなどはたして幾らあるのか。

新しい結婚情報誌が出るたびに「広告をお願いします」と言われる。すべての雑誌に広告を出しても決定組数が上がる保証などない。

増え続ける広告宣伝費、減り続ける決定組数。さて、ホテルマンの皆様どうしますか。どうすればいいか分かっていますか。

この状況は、ホテルブライダルの危機その1と言ってもいいのでは。(その2へ続く)

 

この原稿は2002年作成  2006年再読

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